泣き顔にサヨナラのキス
約束の時間より早く逢えることが嬉しくて、顔がにやけてしまう。
『最初も最後も』
そうなることを願って。
「お待たせ、カナ」
とびきりの笑顔の孝太が、あたしの目の前に。
大好きだよ。孝太。
「どうしたの?ニヤニヤして」
「し、してないし」
「ふうん」
「何よ?」
「好きだな、と想ってさ」
「はっ?」
びっくりして、コーヒーを吹き出しそうになった。
「今日の予定は変更。映画はまた今度ね」
そう言って、孝太はあたしの手を取った。