泣き顔にサヨナラのキス
そのまま、あたしの手を引いて、孝太は店を出てしまった。
「ね、どこいくの?」
「……秘密」
まさか、最近太ってきたあたしをジムにでも連れていくつもり?
……孝太なら、それもあり得るけど。
何となく不安になって、少し前を歩く孝太を見上げた。
孝太の茶色の髪が陽射しに反射して輝いて見える。
キラキラ。そんな単語がぴったり。悔しいけど。好きだって、こんな瞬間にも再認識してしまう。
「じっと見つめて、なに?」
「な、なんでもない」
「ふうん」どうでもいいようにそう言った後、孝太はクスクスと笑い出した。