泣き顔にサヨナラのキス
   

「そう言えば、涼子はいつ結婚するんだ?店には結婚しても出るつもり?」

「あぁ、それね」困ったように眉を下げる。

「ん?」

「嘘なの」

「何が?」

「婚約してるって、嘘なの。噂でけんちゃんが結婚するって聞いたから。悔しいのと、寂しいのと」

そこで一度涼子は言葉を区切った。


「自分に対しての戒めかな。けんちゃんの事、また好きになりそうだったから。

だって、けんちゃん変わらずに素敵なんだもの。けんちゃんは結婚してしまうのに……」


「涼子……」



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