泣き顔にサヨナラのキス

 

気まずい気持ちで会社に出勤すると、まるで何事も無かったかのような、原口係長の素振りにショックを受けた。

原口係長にとっては、一晩一緒に過ごすことなんて、珍しくはないのかもしれない。

勿論あたしだって、特別な関係になれると期待していたわけじゃない。

『抱いてください』と迫ったのは、あたし。原口係長はそれに応えてくれただけ。

だから、割り切らなくちゃと想うのに。

どうやっても視界に映りこむ、原口係長の一挙一動が気になって仕方が無かった。




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