泣き顔にサヨナラのキス
  

ついに息苦しくなって、給湯室へと逃げ込んでしまった。

誰も居ない給湯室で自分のマグカップにコーヒーを淹れる。


立ち込める湯気をぼんやり見詰めながら、昨夜の事を思い返していた。


原口係長の薄い唇があたしの身体中に触れて、あの時の切ない声も聞いたけど。


朝になってみれば、あたしの身体にその痕跡は何一つ残っていなかった。







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