泣き顔にサヨナラのキス
ドクドクと血管が波打っているみたい。心臓が痛くてギュッと目を瞑った。
「そのうちな」
「そのうちって、いつですか?明日の予定はどうなっていますか?」
どうして、こんなに積極的になれたのか自分でもわからない。
ただ、このタイミングを逃すと、もう二度と原口係長の部屋には訪ねていけないような気がした。
「……山本さん、痛いんだけど」
「あっ、ご、ごめんなさい」
慌てて手を離して、原口係長を見詰めると、困ったように頭を掻いた。