泣き顔にサヨナラのキス

 
孝太は振り向きもせず、山本さんと梶間食堂を出ていった。


お箸を握ったまま、呆然とするあたしを原口係長が複雑そうに見ていた。


「早く、食えよ」


「は、はい」


冷めてしまった味噌汁を飲んで箸をおいた。


「ご馳走さまでした」


手を合わせると「俺らも行くか」と原口係長も席を立つ。



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