群青の月
「……ぇ、ねぇってば!ちょっと、聞いてるの?」


「あっ……!ごめん、何?」


柚葉の声にハッとして、寄せていた事に気付いた眉の力を抜いた。


「……だから、『ヤらないならここに連れて来られた意味がわかんないし、ここにいる意味もないからもう帰る』って言ったの」


面倒臭そうに話した柚葉は、苛立ちを隠さずに俺を見ていた。


その瞳を、真っ直ぐ見つめ返す。


このまま帰らせてしまったら、たぶんもう二度と会えないよな……


何となくそんな風に感じた俺は、柚葉を見つめたまま口を開いた。


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