群青の月
柚葉に気付かれないように、体の奥底で燻(クスブ)り始めた欲情(ジョウヨク)を必死に押し込める。


深呼吸だとバレないように、ゆっくりと息を吐いて…


震えそうになる唇から、そっと酸素を吸い込む。


こんな事を繰り返す自分(オレ)は、すごくマヌケだと思う。


だけど、俺が一度でも柚葉の体を求めてしまえば、彼女はきっともうここには来てくれなくなる。


本人に確認した訳じゃないけど、俺の中でそれは確信となっていた。


そして…


こんな時は身勝手にも、契約金だけで成り立っているこの関係が憂鬱だと思えた――…。


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