群青の月
「顔色悪いけど、大丈夫か?」


冬夜の家に着いてリビングに促されると、彼が眉を小さく寄せながら控えめに訊いて来た。


「別に……」


「またそれか……。夜中にばっかり働いてるから、体調崩したんじゃないのか?」


心配そうにしている冬夜に、ため息だけを返す。


眉を寄せたままキッチンに行った彼を横目にソファーに腰掛け、バッグからタバコを取り出して火を点けた。


だけど、吸い始めて数秒もしないうちに冬夜にタバコを取り上げられてしまって…


その代わりに、麦茶の入ったグラスを持たされた。


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