群青の月
「柚ちゃんって、もし体調が悪くても、素直に『体調が悪い』なんて言わないタイプでしょう?だから、心配だわ……」


吉岡さんは眉を下げた顔で、小さなため息をついた。


「そんな事ないよ。本当にちょっと寝不足なだけだし……。それに体調が悪かったりしたら、ちゃんと言うから」


寝不足なのは嘘じゃないけど、やっぱりそれはただの言い訳でしか無かったと思う。


それでも、吉岡さんはそれ以上は何も訊かないでいてくれて…


その後、他愛のない話をしながら笑顔で掃除を続ける彼女に、あたしは何だかホッとしていた。


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