群青の月
すっかり明るくなった朝方、清掃員としてこのビルに派遣されていた人達は、やっと仕事を終えて解散した。


このバイトは1日だけでも構わないから、清掃員のほとんどは日替わり状態で…


あたしや吉岡さんのように、同じ顔触れの人はすごく少ない。


だから、他の清掃員と大して会話をしなくても済む。


他人と関わりたくないあたしにとっては、デモンストレーターのバイトよりも好都合で、精神的にもすごくラクだった。


「柚ちゃん、またね」


優しい笑顔で言った吉岡さんと、今日の仕事場だったビルのすぐ前で別れた。


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