群青の月
都会は早朝でも賑やかで、街を行き交う人々の雑踏で煩い。


どこを見てもビルばかりのこの街は、昼でも夜でもやっぱり好きにはなれなくて…


煌びやかなネオンが消えていても、人工的な建物に囲まれている事に息苦しささえ感じる。


冬夜、何してるんだろ……


そんな事を考えたのは、別に不意な事じゃなかった。


だけど、やっぱり冬夜の事を考えるとため息が漏れる。


不規則に、だけど平行に並ぶビルはどこか似ているように見えても、どれも全然違う。


それは何だか、相容(アイイ)れないあたし達みたいだ、って思えた――…。


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