群青の月
「……自殺って、思い付きでするような事なの?」


「さぁな」


「アンタ、アルコールに弱いとか?」


「いや?たぶん、かなり強い方だとは思うけど」


俺は小さく笑った後、半(ナカ)ば強引に女にビールを持たせた。


「アンタ、死ななくて良かったのかもね」


「……どうして?」


「だって、さっき死んでたら、ただの酔っ払いの自殺だと思われてたかもしれないじゃん」


口元を緩めた女の言葉が可笑しくて、無意識のうちにフッと笑っていた。


「確かに。じゃあ、お前に感謝しないとな」


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