群青の月
ノロノロと起き上がった直後、ガチャリと音を立てたドアから入って来たのは母だった。


「……アンタ、まだいたの」


訝しげな顔であたしを見た母が、ピンヒールのサンダルを脱ぎながらため息をついた。


気が重くなって、余計に暑さに苛立ってしまう。


「……もう出るよ」


重い体を引きずるように立ち上がって、適当に手にした服に着替える。


「もうすぐ人が来るから、早く出て行ってよ」


出掛けていたのに珍しくスッピンだった母は、不機嫌に眉をしかめながら言い放って、いそいそとメイクを始めた。


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