群青の月
「夕立(ユウダチ)か……」


ポツリと呟いた冬夜に導かれるように、ベランダの方に視線を遣る。


カーテンが開けられているその先には、どんよりとした曇り空が広がっていて、そこから惜しみ無く雨を降らせていた。


晴れた空よりも、泣きそうなくらいに灰色に染まった空の方が落ち着くのは、やっぱり過去の記憶のせい。


視線を雑炊に戻したあたしは、持っていたスプーンを力無く離した。


「……もっと食えよ。それとも、不味かったか?」


心配そうに眉をしかめた冬夜にも、いつも通り何も返さなかった。


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