群青の月
じっとりと纏わり付く空気のせいで、蒸し暑いのに体温が下がっていくのを感じる。


そんな時…


「柚葉っ!!」


耳に届いた声に顔を上げると、大通りの方から走って来る冬夜の姿が見えて、驚きにも似た気持ちを抱いた。


「大丈夫か?」


汗だくで走って来た彼は、あたしの傍に来るとすぐに訊いた。


口を開けば泣いてしまいそうで、だけどそれでもいいから言葉を発しようとしたのに…


体がバカみたいに震えて、声を出す事が出来なかった。


そんなあたしを見兼ねたように、冬夜があたしを抱き上げた。


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