群青の月
エントランスがあたしの泣き声を弾いて、より大きく響かせる。


「……ヒッ……わぁぁぁぁ……っ…………っ!」


こんな風に子供みたいに大声で泣いたのは、いつ以来だろう…。


頭の片隅では思い出せないくらい久しぶりの事に戸惑いながらも、涸れる事無く溢れる涙も声も我慢出来なかった。


出来る事なら、涙と一緒にこの苦しさも吐き出してしまいたい。


そんな事を考えていたのも束の間で、気が付けば無我夢中で泣いていた。


そして…


そんな自分の泣き声を聞きながら、何かを考える余裕も少しずつ失くなっていった。


< 504 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop