群青の月
「俺がいる……」


戸惑うように零された言葉が、耳をそっと撫でる。


それはあまりにも小さな声だったから、一瞬空耳かと思ったくらいだった。


「だから、少しくらい頼れよ」


今度は確かにあたしの耳に届いた、力強くて優しい声。


体を抱き締めてくれている腕よりも、その言葉の方がずっと温もりを感じる事が出来た。


肌に触れている体温を越える温かさに、益々涙が零れる。


だけど…


どうして……?


少しだけ冷静さを取り戻した頭がそんな事を考え、その答えを求めてゆっくりと顔を上げた。


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