群青の月
「俺は……柚葉が何に苦しんでるのかは知らないし、どうすればお前の傷が癒えるのかもわからないけど……」


早口になりそうなのを防ぐ為に、ゆっくりと深呼吸をする。


少しだけ心を落ち着かせる事が出来た俺は、柚葉を真っ直ぐ見つめたまま再び口を開いた。


「一緒に受け止める事なら出来るかもしれない、って思うんだ」


今まで泳がせてばかりだった柚葉の視線が俺の瞳を捉えるように止まったかと思うと、直後には彼女が目を小さく見開いていた。


次の言葉を零す事に不安を抱きながらも、微笑みを浮かべたまま続きを紡いだ。


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