群青の月
「それに……アンタも知ってるでしょ?あたし、アンタと出会う前はずっと体売ってたし」


淡々と話す声は確かに震えているのに、その心の中を表情には出さないように努めている。


「てか、アンタと出会ってからも売った事あるし」


柚葉のそんな姿を目にして、胸の奥が抉(エグ)られるように痛んだ。


「こんな汚れた……薄汚い女のどこがいい訳?」


言葉に詰まった後からは、涙を堪えているのがわかるくらいに声が震えていた。


俺はこの時初めて、柚葉が何よりも蔑んで来たのは彼女自身なんだって事に気付いたんだ――…。


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