群青の月
一瞬だけ目を見開いた冬夜が、少しだけ戸惑いを見せながら口を開いた。


「違うなら……引っ叩(パタ)いてくれてもいいから……」


彼は躊躇いがちに前置きした後、真剣な表情であたしを見つめた。


さっきよりも真っ直ぐな瞳に、息を呑む。


「でももし、俺の勘違いじゃないなら……。柚葉の中に、俺と同じ気持ちがほんの少しでもあるなら……」


そこまで言った冬夜が、ゆっくりと右手を差し出した。


「……俺の手を取れよ」


あたしの前に差し伸べられた大きな手の平に、ベランダから射し込む光が重なった。


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