群青の月
「もう、マジでウザイんだけど……」


手首に視線を遣った柚葉は、俺を見ながらため息をついた。


「柚葉、腹減ってねぇ?飯でも食いに行こう」


「アンタ、人の話聞いてた?アンタと一緒にいる意味がわかんないのに、一緒にご飯食べるなんて絶対に有り得ないから」


「確かに、意味なんかないかもしれないけどさ……。ここで出会ったのも、きっと何かの縁だろ?」


「偶然だっつーの!」


「偶然だって、立派な縁だよ」


柚葉は頑(ガン)として首を縦に振ろうとはしなかったけど、俺も一歩も引かなかった。


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