群青の月
「最初は、ただ驚いて……。男達に組み敷かれてるのに、何が何だかちっともわからなかった……」


開き直りにも似た心構えのお陰で、さっきよりも落ち着いた口調になっていた。


「でも、すぐに必死に抵抗して……。パニックになりながら、とにかく目の前の母親に助けを求めた……。それなのに……」


ジワリジワリと、嫌な汗が滲み出る。


部屋の中は適温だったのに、額から汗が流れ落ちた。


「あの人は……『良かったわね、アンタみたいなのでも買ってくれる人がいて』って笑いながら言ったの……」


ゆっくりと閉じた瞼の裏に、あの日の映像が映る――…。


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