群青の月
冬夜の切なげな微笑みに戸惑っていると、再び彼の腕の中に閉じ込められてしまった。


あたしの過去を知って、冬夜はどう思ったんだろう…。


汚れているあたしは、彼の瞳にはどう映っているんだろう…。


こんな風に抱き締めてくれるのは、あたしに同情しているからなのかもしれない。


色んな事が頭の中を駆け巡る。


何もかもが不安で、すごく恐くて、胸の奥が苦しい。


だけど…


あたしを抱き締めてくれる優しい温もりを感じながら頬を伝った一筋の雫は、確かに幸せな感情から生まれた涙だったんだ――…。


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