群青の月
夕食は、やっぱりまともに出来上がらなかったカレーを、二人で食べた。


「焦げてるのに、人参は固いって……」


楽しげに笑う冬夜を睨みながらも、結局は全部平らげてくれた彼の優しさを嬉しく思う。


「初めて作った時よりも、ちゃんと上達してるよ」


こんな気持ちが抱ける事を、きっと“幸せ”って言うんだろう。


冬夜といると、味わった事の無い感情に触れて戸惑う事もあるけど…


それらの感情は、いつもあたしを満たしてくれる。


真っ暗な闇の中で生きて来た過去を、時々忘れてしまいそうになる程に…。


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