群青の月
冷たいと感じていた夜の空気が心地好くなる程、俺の全身は熱を持っていた。


柚葉の体もまた、俺と同じように熱を帯びている。


二つの体から感じるその熱に浮かされて、場所がベランダだって事も忘れてしまいそうになる。


「と、う……や……」


夢見心地にも似た気分でいた俺を現実に引き戻したのは、どこか苦しげに漏らされた柚葉の声だった。


すぐにハッとして体を離すと、彼女は虚ろな瞳で俺を見つめた。


「……悪い」


さっきよりもバツが悪くなりながら小さく謝ると、柚葉が悲しげに目を伏せた。


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