群青の月
自分の体の中の熱が冷めないまま、俺達を包む気まずさを誤魔化すように笑みを繕う。


「中に入るか……」


不安を抱きながら声を掛けてみたけど、柚葉はその場から動こうとはしない。


この行為に敏感な彼女だからこそ、何も反応が返って来ない事が恐くて堪らなかった。


どうすればいいのかわからないまま、再び恐る恐る声を掛ける。


「柚葉……?」


その瞬間、顔を上げた柚葉が俺をキッと睨み付けた。


その瞳には涙が浮かんでいて、明らかにさっきの行為のせいじゃないその雫に、思わず身が竦んでしまった――…。


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