群青の月
「おばさん、買い物の途中なの。これから銀行にも行かなきゃいけないのに、お喋りが楽しくてすっかり忘れてたわ」


よく見ると、吉岡さんはバッグと買い物袋を持っている。


「それに、これ以上デートの邪魔をしちゃうと悪いから、もう行くわね」


悪戯っぽく細められた目に戸惑っていると、彼女がフフッと笑った。


「おばさんもたまにお昼の清掃のパートしてるから、また会った時はよろしくね」


「あっ、うん」


冬夜に軽く頭を下げて笑った吉岡さんに、彼も笑顔で会釈を返すと、吉岡さんは微笑みながら立ち去った――…。


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