群青の月
「そんなに怒るなよ……。別に本当の事を言っただけだろ?」


ムッとした表情で顔を背ける柚葉に、つい苦笑が漏れる。


俺は少しだけからかい過ぎた事を反省して、彼女の顔の前に二枚のDVDケースを差し出した。


「柚葉はどっちがいい?」


「別にどっちも観たくない」


「そんな事言わずに選んでよ」


フイッと顔を背ける柚葉は、何だか拗ねた子供みたいでまた笑ってしまう。


こんな柚葉も悪くないなんて思いながら、悪戯心からもう一枚のDVDケースを差し出して、彼女の顔を覗き込んでから口を開いた。


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