群青の月
「……またな、崎本」


畑野はそれだけ言うと、自動ドアの向こうに身を滑り込ませた。


最後に投げ掛けられた『またな』と言う言葉に芽生えたのは、とてつもなく嫌な予感。


だけど…


俺はそれにも気付かない振りをして、無理矢理繕った笑みを浮かべながら柚葉の背中を押した。


「行こう……」


小さく呟いた俺に、柚葉は何も言わなかったけど…


彼女はきっと、俺と畑野の間に何があったのか気付いているんだろう…。


どこか悲しげな瞳で俺を見つめて来る柚葉と、目を合わせる事が出来なかった。


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