群青の月
アクセルを踏み込む足につい力が入り、無意識のうちに運転が荒くなっていく。


さっきから、柚葉が心配そうに俺を見ている事は気付いている。


だけど…


今の自分(オレ)には、柚葉を気遣う余裕なんて微塵も無い。


苛立ちながら視線を上げると、河川敷で見たような澄んだ青空は姿を消してしまっていた。


それはきっと、淀んだ都会の空気のせいでも、視界を占めるフロントガラスのせいでも無いとは思うけど…


目の前に広がる濁る空を見ているとやり場の無い感情が爆発してしまいそうで、とにかく何かのせいにせずにはいられなかったんだ――…。


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