群青の月
リビングのソファーに座らされた後も、大きな不安に包まれたままそこから動く事が出来なかった。


その不安に今にも押し潰されてしまいそうなあたしは、ガタガタと震える体を両腕で抱いて蹲るようにしていた。


冬夜が淹れてくれたホットココアのマグカップにも、指一本触れる事が出来ない。


彼は、そんなあたしの傍から離れようとはしなかった。


「柚葉、風呂沸いたから入れ」


リビングにお風呂が沸いた事を知らせるメロディーが流れ始めると、冬夜がすかさず優しく言った。


だけど、ソファーから動けなかった。


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