群青の月
冬夜は、畑野との事を『気にするな』って言ってくれた。


それは、すごく幸せな事…。


あたしの過去を知った上で、こんな風に言ってくれる人なんていないと思う。


だけど…


その反面、冬夜の優しさに触れる度に苦しくなっていく。


きつく締め付けられる胸の奥にある負の感情が、愚かな自分(アタシ)を毎晩のように責める。


あんなにも幸せだった時間は、きっともう戻って来ない。


だって…


あたしは、何事も無かったかのように冬夜の傍にいる自分(アタシ)の事が、どうしても許せないから――…。


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