群青の月
一瞬、何が起こったのかわからなかった。


目の前で起きた事に、驚きのあまり目を見開く。


キスされているんだと理解した時には、柚葉の唇はもう離れてしまっていて…


呆然としている俺から、彼女はパッと視線を逸らした。


不意打ちのキスにドキドキしたのは、柚葉からのそれが初めてだったから…。


俺は熱を帯びた顔を隠すように口元を手で押さえ、彼女から視線を逸らしながらドアノブに手を掛けた。


「……行ってきます」


そう言って逃げるように家を出た時、さっき感じていた不安はすっかり消えていた。


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