群青の月
目の前の鏡に映るあたしは、どこからどう見ても情けない顔をしている。


眉を下げた自分が、まるで子供みたいで…


それを誤魔化すように顔を洗って、唇を噛み締めながら頭をブンブンと横に振った。


母親に売られた後から、全てを諦めて生きて来た。


そんなあたしがまたこんな表情をするようになってしまったのは、きっと冬夜と出会ったから…。


もし、あたしがどこにでもいるような普通の女で、冬夜とも普通に出会ってたら……


未だにそんな事を考えてしまう自分に呆れ返って、鏡に映る自分(アタシ)に嘲笑を向けた。


< 822 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop