群青の月
その数分後、ピンと張り詰めていた緊張の糸は切れてしまっていた。


理由は、何度インターホンを押しても柚葉が出て来なかったから…。


最初は、まだ寝ているのかとも思った。


だけど、部屋の中には人のいる気配が全く無い。


緊張感が無くなった事でため息が漏れ、どうしようかと途方に暮れる。


そんな時…


「アンッ!」


どこからか犬の鳴き声が聞こえて、俺はその声に誘われるように更に奥に進んだ。


すると、柚葉の部屋の隣に置かれていた段ボール箱の中から、真っ白な子犬が顔を覗かせていた。


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