群青の月
惜しむようにそっと冬夜の体が離れた後、小さなため息が零された。


「そんなの決まってるだろ……」


少しだけ呆れたような、それでいて優しく落とされた言葉…。


その声音に引き寄せられるように、ゆっくりと顔を上げる。


すると、冬夜はどこか悩ましげな笑みを浮かべながら、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「柚葉の事を、もうどうしようもないくらいに愛してるからだよ」


ハッキリと告げられた気持ちに、心がグラリと揺らぐ。


あたしがせっかく意を決して離れたのに、冬夜はやっぱりいとも容易く距離を縮めて来るんだ…。


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