群青の月
「俺は……柚葉もまだ、同じ気持ちでいてくれてると思ってるんだけど……」


控えめな言い方だけど、どこか自信に満ちた笑顔。


懐かしさを感じるその表情に戸惑って、言葉を失ってしまう。


そんなあたしの目の前に、トーフが差し出された。


「アンッ!」


相変わらず尻尾をブンブンと振る姿は愛らしくて、元気良く鳴いたのは冬夜に同意しているようにも思える。


「こいつのブランケットもこの部屋も、俺の使ってる香水の匂いがするんだけど……」


そこで言葉を止めた冬夜は、あたしの答えを待っているみたいだった。


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