溺愛中なんです。
朝からほんとに疲れる。
私の隣には雨宮が口笛を吹きながら
歩いている。
皆、雨宮を避けるようにして廊下を歩く。
「雪姫!おはよ〜」
「おはよ!葉月ちゃん」
この子は私の親友、高田葉月(タカダハヅキ)
髪は少し暗めの茶色でショートカット。
甘いモノが大好きで、
よく学校帰りに一緒にケーキを食べる。
「また雨宮くんと一緒に来たんだ?」
「一緒じゃない!ついて来ただけ!」
「そんな否定すんなよ〜」
否定するよっ!!
こいつの無駄な行動のおかげで
私と雨宮は付き合ってるんじゃないかって
噂すらあるんだから。
ほんと、迷惑な話。
「んまぁ、とにかくあたしは雨宮くんを
応援するけどね〜」
「何で!?」
「おっ♪雪姫のダチ!話がわかるねぇ」
意味わかんない!!
何で葉月ちゃんが雨宮の応援するの!?
─ お昼
「雪姫っ!一緒に食べよーぜ♪」
と、私の席までダッシュで来たのは、雨宮。
つくづく諦めの悪い男。
「慶介はぇーよ」
と、雨宮の後ろから滝川くんと北山くんが
雨宮を追ってきた。
「わりぃわりぃ!…で!一緒に食べるよな」
「やだ。私、葉月ちゃんと食べるもん」
「あたしはいいよ♪」
後ろから…葉月ちゃんの声。
何がいいのぉ!?
「ちょっと葉月ちゃん!?」
「ん?なぁに」
「なぁにじゃないよ!!一緒に食べるよね?」
「雨宮くんと食べてこればいいじゃん」
と、あっさり。
いいじゃん…って……よくない!!!
何が悲しくてこんなチャラ男と
貴重なお昼の時間を過ごさなきゃならん!!
「何でそんなに雨宮に協力的なの!?」
「だって雨宮くん、結構雪姫に本気っぽいしさ、応援したくなるの!」
「絶対本気じゃないよ!冗談なの!
私、からかわれてるの!!」