13回目の好き

変化球




杉野巫Side






ヤヨッチャン:「はぁ、…時間経つの早いよねぇ〜。」


空っぽになったお弁当箱を片付けているとヤヨッチャンがポツリと呟く。



「どうしたの?」


ヤヨッチャン:「ん?別に何もないけど、…ほら、もう7月じゃん?早いなぁって思って。」


考えてみれば、"もう"なんだよね。


「でも、"まだ"7月でもあるよ。」


高木先生:「おーい、杉野!」


と、不意に廊下側の窓から、教室の中にいる私を呼ぶ怪しい笑顔の高木先生。



ヤヨッチャン:「そういえば最近、高木先生って上機嫌だよね。」


コソッと私の耳元にそう囁いて、ヤヨッチャンは私の背中をポンッと押した。


「…う、うん確かに!あ、行ってきます。」



三浦先生のことかな、と思いながら高木先生の元へ行く。



高木先生:「あ!本石ちょっと待て!お前に話が…。」





せっかく、高木先生の所まで来たと思えば、高木先生は、ちょうどすれ違った野球部キャプテンの本石君に話かけていた。


人を呼んでおいて…。全く高木先生ってば…。


とふうっとため息を漏らし、開けたままの窓にひじをつき、高木先生が話終わるのを待っていた。






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