13回目の好き
三浦一樹先生 Side
パタンっと閉じられたドアを見つめて俺は1、2秒ほど思考停止状態。
ん?
ほんの2、3分の出来事だ。
その一瞬にして俺は、杉野に"約束"をしてしまった。
「何てことを…。」
はぁっとため息をつく。
最近、杉野のペースに巻き込まれてないか?俺は…。
まぁ…いいか…。90点も取ってくれたら、教師として教えたかいがある。
日が落ち、当たりは薄暗くなり、窓際に立つ。
「もうすぐ、…夏か…。」
ボソッと一言こぼすと、さっきの杉野の言葉が頭を過ぎる。
…確かに、…夏には嫌な思い出しかない…。
だから嫌いなんだ。
あの暑さが、あの波の音が…、嫌でも聞こえてくる。
俺は、何故教師になってしまったんだろう。
どうして、こんなにも窮屈なんだ?
息苦しい。
杉野の言葉に、杉野の笑顔に…
自分という鏡を見せ付けられたようだ。
過去は受け入れていたはずなのに…
俺は…きっと見ないフリをして、教師になることで、カバーしてきたのかもしれない…。