13回目の好き
高木先生はにっと笑って言う。
高木先生:「だからつまり…三浦先生に言いたいこと、聞いてほしいことでもあったのかと思いましてね!」
高木先生はそう言うと、ドアの方へ歩きはじめた。
「…。」
…杉野が俺に言いたかったこと?
…"好きだ"って?
「…俺には分からない。杉野は俺にどうしてほしかったのかが。」
カチャッと、ドアを開けた高木先生が手を止めて、斜め下に視線を落として口を開く。
高木先生:「…三浦先生に…気持ちを分かってもらいたかったんじゃないですか…?…まぁ、何を言ったのか良く分からないが…。少しは考えてほしかったんじゃないでしょうか?」
ゆっくりと俺の方に体を向ける高木先生。
高木先生:「そうですね、俺は昔…そんな気持ちになったことがありました。恩師が、俺の気持ちを考えてくれた時、かなり嬉しかったです。大事なのは、いつまで子供の頃の気持ちを覚えていられるか、だと思ってます。」
そう言うと高木先生はまた、ドアを開け最後に「また、飲みに行きましょう!」と言って出て行った。
その言葉が胸を突いた…。