13回目の好き



夜の車内、運転する三浦先生の隣で俯く。



三浦先生:「…どうしたんです?」


「いや、その…。三浦先生…今日海に連れていってくれて…ありがとうございます。…先生は、来て…良かったですか?」


1番心配だったことを聞いてみると、三浦先生はカーブを曲がりながら、口を開いた。



三浦先生:「…そうですね。ただ…兄のことを思うと、やっぱり胸が痛みますね。」



「…。私、…そんな経験なくて…。気の利いた言葉もなくて…すいません。」


三浦先生:「そうですか?君には少し助けられました。」


「え…?」


三浦先生:「言いませんけど。」



そう言う三浦先生にムッとして睨むと、クスッと笑った横顔に、ドクンッと音を立てた。


「…けど私、お兄さんの夢のおかげで三浦先生に会えたんですよね…。そう思うと、凄く感謝します。…会って、みたかったです…。」

三浦先生:「…。」


返事のない三浦先生に心配になり表情を伺う。


三浦先生:「君は…」


そう言いかけて黙っちゃう三浦先生に困惑してしまう。


「…三浦先生?」


三浦先生:「いや、何でもない。…ありがとう。嫌な思い出も海に流れたようだ。」


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