13回目の好き
恭先生:「…奈緒、聞いてくれ。」
そう言って、私と同じ目線へと恭先生は腰を下ろす。
「…っ。」
流れる涙を、恭先生の暖かい手が拾いあげた。
「っき、嫌いにならないで……。…ごめんなさい…。」
困ったように微笑んだ恭先生に、私は思わずそんなことを言って、ギュッと抱きしめていた。
恭先生:「好きだ。…好きなんだ。…不安にさせてごめんな。」
ドクンっと鼓動が鳴りはじめる。
恭先生の大きな手が、私の背中の上へと上がりギュウッと力が入る。
先生から"好き"って言葉、めったに聞かないからなのか、ドキドキして、ホッとする。
だけど…何で、先生が謝るの?
「…情けないです。本当に…。私、高校生の時から何も変わってない。」
もしかしたら、1番比べてたのは…恭先生と私の差なのかもしれない…。
恭先生:「ははは。俺が、大人に見えるか?」
そう笑って答える恭先生にムッとして
「見えます!凄く!…だからずるいです。…だから、不安です。…生徒の方が大切なのかな、って…、恭先生と婚約もしたのに…、嫉妬して…。情けないです…。」