13回目の好き





嫌な自分が、打ち付ける波のように、私の心の中から押し寄せてくる。



お願い、出て来ないで。



「…っ!!」


グイッと体を引き寄せられて、暖かくて優しい恭先生の腕に抱きしめられる。



そんな優しさに触れれば触れるほど、



自分の情けなさ、醜さが形になってしまう。



「…っ離して!!私がいなくたって、恭先生には、大切な人達がいるでしょ!……けど、嫌なんです…。嫌なんです!!」


恭先生の方へ向いて、先生の胸を叩き、涙を拭った。


「…私を、誰よりも恭先生の1番にして下さい…」






自分が嫌になるよ。




だから離してほしかったの!こんな自分を見られたくなくて…。




更にギュウッと抱きしめる恭先生の腕が強くなる。



恭先生:「離せるか。誰よりもお前が1番に決まってる!…奈緒、もっと我が儘言えよ。嫌なことはもっと言え!我慢はさせたくないんだ。」





そう言って、恭先生は、広く受け止めてくれる。



「…っ!嫌になるんです!自分が!恭先生は大人で、私はいつまでたっても子供のまま…!!私は…!恭先生にもっと近付きたいんです!!」





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