13回目の好き





ピタリと足を止めて、振り返る三浦先生が「ん?」っと私を見る。




わわ!お、思わず呼び止めちゃったけど…



な、何話そう…


焦る私は視線を外して三浦先生の靴を見る。


三浦先生の靴が私の方へ歩み寄って来る。




ど、どうしよう!!!



「ああ〜ええっと…。そ、その…。」




自分の手に持ってた化学の本が目に映り慌てて口を開く。



「…か、化学って…おもしろいですか?」



三浦先生:「…ええ。何か分からないことでも?」



「あ、い、いえ!ただ、知りたくて…。か、化学!」



本当は三浦先生のことが知りたいんだけど…何て言えず


慌てて答える私に、初めてクスッと笑った三浦先生。



ビックリして思わず先生を見てると三浦先生が口を開く。



三浦先生:「…それで、その本を?」




ハッとして本を慌てて後ろへ隠す。



「いや、その…ちょっと1年から化学やり直そうかなって…今、難しくって…。」





ああ、情けない。




ここで、私も化学が好きなんですなんて言えたら、良かったのに。



何で好きな人の前じゃ情けない所ばっか…






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