13回目の好き
放課後―…
ふう、あっという間に1日が終わった。
いやいや、これからが大変なんだよね!
と思っていると
恭先生のプリントの束を、数学準備室へ運ぶ途中、開いた廊下の窓から風が吹き、ヒラリと何枚かプリントを落としてしまった。
「はぁ〜…」
っと深いため息と一緒に散らばったプリントを拾い集めていると何枚か集められたプリントを目の前に差し出される。
慌てて見上げると
「あ、すいません三浦先生。ありがとうございます。」
三浦先生:「いえ。…何だか、吉崎がここにいると不思議な気分になりますね。」
「それは、無理ないと思います。私自身、先生と呼ばれる立場に立っていることすら不思議なんです。」
生徒がいる、なんて。そう思うと思わず苦笑してしまう。
三浦先生:「はは。吉崎先生ですからね(笑)」
「…本当、恭先生にまでそう言われ―‥」
杉野さん:「み、三浦先生!化学教えて下さい!」
話しの途中で、恭先生のクラスの杉野さんが三浦先生と私の間に入って来た。
杉野さんの必死な表情に、私は三浦先生に頭を下げて数学準備室へと足を運んだ。