13回目の好き






何だかモヤモヤしながら化学準備室のドアを開ける。



三浦先生がいつも座っている椅子、薄暗い棚…



机の傍の窓からは日の光りが差し込んでる。




この前まですぐにオレンジ色に染まってたのに…



そんな日の変化はほんの少しだけ春の終わりを感じさせる。




職員室へ向かう三浦先生の寂しそうな後ろ姿がずっと心に引っ掛かる。





ガチャ、





突然ドアが開きドキッとして慌てて振り返る。



三浦先生:「すまない、じゃあ始めようか。」


「は、はい、お願いします。」




モヤモヤしてても、先生の姿が映ればこんなにもドキドキする。






三浦先生は先生の椅子の横にもう一つ椅子を置いて私をそこへ座らせた。




その隣へ普通に座る三浦先生にドキドキしながら、1年の時の化学の教科書を開ける。




三浦先生:「で、どこから分からないんだ?」




「えっと…この、イオンとか物質量あたりから分からなくて…。」


三浦先生:「…。調度、1年に教える範囲ですね。それなら、1年の授業プリントで一緒に復習しようか。」




「は、はい頑張ります!」





< 44 / 266 >

この作品をシェア

pagetop