My sweet home
「…おかえり」


「…翔?」


久しぶりに見る愛しい人の顔は、

少しやつれてて、

でも どこか吹っ切れた顔をしてて、、、



「…あ、それ、、見たんだ」

私のカバンから見えてた新聞を、翔は見つける。



「う、うん」

「…そっか。
 今日は、忘れ物取りに来た」


この前と変わらず冷静な翔に


「…本当だった…んだねっ」

「あぁ…。
 この部屋は、自由に使っていいから」

「意味…わかんないよ」


私は自分の感情をぶつけはじめる―。



「何で?
 ずーっと一緒にいたのに、
 ずっと一緒だったのに、、何で、全部決めてから言うの?」


「…ごめん。
 今は。 今は、話せない」

「わ、私のこと…、キライになった?」

「違う! それは、違う!!」


そう言うと、

翔は近付き、強く 強く 私を抱きしめた。


「ホントごめん。
 今は、言えない。
 あっち行って落ち着いたら手紙書くから。
 必ず書くから。  …ごめん」

「・・しょ、しょぉ、、、」


翔は、ゆっくりと腕の力を抜き、

私の瞳からポロポロと零れる涙を拭い、


「ごめん。
 また今から事務所に戻らなきゃいけないんだ…。
 置いたままだった物、取りに来ただけだから」


そう言って、部屋から出て行った。
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